リフォームの目的を明確に
ライフスタイルの変化によるリフォーム・リノベーション
子供が生まれたり、子供が独立したり。家族構成は変わっていくもの。
新築で家を建てる時、将来も織り込んで設計したはずなのに、いざその時が訪れると「思ってたのと違う…」なんてこともよくあります。
高齢の方がいらっしゃるご家庭では、バリアフリー化も考えていかなければいけません。高齢の家族がいなくとも、事故などで不幸にも車椅子生活を余儀なくされることも。
また、近年のコロナウイルスに起因するライフスタイルの変化も、在宅勤務など住宅環境に変化を求めるものとなっています。
間取りを変えたりする大規模な改修は「リノベーション」と呼ばれます。
経年劣化による修理目的のリフォーム
築年数が経ってくると、どれだけ丁寧な生活をしていたとしても劣化は起こります。
その劣化を修理する目的でリフォームすることもあります。
建物自体の経年による「狂い」や、地震などの揺れによる変形などにより、建具の動きが重くなったり、ひどいときは開かない・閉まらないといった不具合が起こることも。
蝶番などの金具の摩耗、引き戸の場合は敷居の摩耗などで動きが重くなることもあります。
バリアフリー化なのか、イメージチェンジなのか、ライフスタイルの変化なのか。
それにより、リフォームの内容が変わります。必要以上のコストをかけないためにも、しっかり計画を立てる必要があります。
使いやすく暮らしやすく、心地よく。
ライフスタイルの変化のみならず、劣化が目立ってきたところは修理したいもの。弊社は建具屋ですので、室内建具のことを中心にお話していきます。
子供のきょうだいゲンカで投げたものがドアに刺さって穴が空いた、とか、反抗期の子供がドアを壊したとかいう話もよく聞きます。建具は比較的被害にあいやすい建材であります。。。
その他、薄いガラスの入ったドアは地震などでガラスが割れてケガをしないか心配、なんてお悩みもあるかと思います。
また、飼っているペットに引っかかれてボロボロになってしまったり、ということもあるかもしれません(私の家です)。
その他、ドアや引き戸の開閉音が気になる、動きが悪くなった、さすがにデザインが時代に合わなくなった…そんなお悩みからのリフォーム需要も多くあります。
大規模リフォームと建具
大工さんに入ってもらう「大規模リフォーム」
壁や床、天井などを張り替えたり、2部屋を1つの広間にしたり、逆に2つに分けたり。
ここでは、大工さんに入ってもらった造作工事を含んだリフォームを「大規模リフフォーム」と呼ぶことにします。
壁に空いた開口に建具が入りますので、壁と建具は密接に関係してきます。
壁の工事をするかしないかで、建具のサイズなども変わってきます。
規格サイズ品の建具が普及している現代では、比較的安価な規格品の建具を仕入れ、そのサイズに合わせて壁の開口を作る、というパターンが多くなっています。
建具には「枠」が必要です
ドアや引戸などの建具は、単品では機能しません。建具を支える「枠」が必要です。
ドア(開き戸)でしたら。蝶番の取り付けやドアノブの「ストライク」を掘り込んだ枠を入れるのが一般的です。
引戸でも、レールを取り付けるために枠が必要です。
枠は、金具の取り付けのためだけでなく、壁と開口部の見切りとしても機能します。
リフォームの内容にもよりますが、壁の下地から作り替える大規模なリフォームの場合、建具とその枠も取り替えることも多いかと思います。
壁を下地から作り変え、開口寸法を変えることができる場合は、価格が安い規格サイズ品のドアセットを入れることが多くなっています。
開口寸法を変えない場合は、枠と建具もサイズオーダーする必要があります。
壁をいじらない「小規模リフォーム」の場合
今のドア枠を活かして
今ついているドア枠はそのまま使い、それに合わせて建具を作ることも可能です。
ドア枠の内側のサイズと蝶番・ドアノブのラッチのストライクの位置、ドアの厚さなどをお知らせいただければ、1ミリ単位で設計いたします。引き戸の場合も、枠内サイズなどをお知らせください。
但し、建材メーカー製の建具枠の場合は、メーカー独自の金具を使用している場合があります。現状のお写真などをお送りいただいた上でご相談ください。
枠ごと換えるという選択肢も
壁を作り直すわけではないけど、枠も換えたい。
そんなご要望にもお応えできます。
この場合、現状の枠の「外寸」と「壁の厚み」をお知らせいただければ設計・製作可能です。
建具だけ換える「プチリフォーム」
毎日動かすものですから
建具は、毎日の生活の中で当たり前のように動かすもの。一日に何回ドアを開け閉めするでしょうか。数えたこともないですよね。
どれだけ丁寧に扱っていたとしても、毎日触って開け閉めしていくうちに、少しずつ傷んできます。
不注意でドアに穴を開けてしまうなんてこともあるかと思います。
穴が開くなどの大きな損傷がなくとも、蝶番やドアノブ・戸車などの金具は日々消耗していき、やがて動きが悪くなったり音が大きくなったり。
ドアノブに至っては故障により部屋に閉じ込められる、なんてことも起こり得ます。
機能的な問題や損傷による取替以外にも、デザインがインテリアと馴染まなくなってきた、薄いガラスが入っているので地震などで割れたらどうしよう…という不安、洗面所などで通気性を持ったドアに替えたいなど、建具のリフォームの理由は様々あります。
ドアノブや引戸錠の劣化は事故のもと
ドアノブ・ドア錠メーカーの業界団体である日本ロック工業会では、ドア錠(引戸錠を含む)の耐用年数を10年(電気錠は7年)と設定しています(錠前の耐用年数についてのガイドライン)。
これは、適切に維持管理された標準的な使用頻度のドア錠の交換推奨時期と定義されています。(金具の保証期間ではないのでご注意ください)
日常的なメンテ(ネジの増し締めなど)をしていても、錠の内部の油脂類やプラスチック部品の劣化、摺動部の摩耗は進んでいきます。その結果、錠としての機能が失われて、最悪「閉じ込め」になる恐れもあります。
「ドアを蹴破ってなんとか脱出した」という話もよく聞きます。
操作にガタツキや違和感が出てきたら、まずはネジの増し締めなどを行ってください。それでも違和感が残る場合、ドア錠の交換を強くお勧めします。
錠前換えるならついでにドアごとリフォーム、といった選択肢もあります。
少し前まで、室内ドアの錠には「チューブラ錠」と呼ばれるものが多く使われていましたが、小型であるゆえに故障しやすい構造です。今ではチューブラ錠を販売する金具メーカーも減ってきています(保守部品としては生産しています)。
せっかく変えるのでしたら、信頼性の高い「ケース錠」にするのも選択肢です。
※万一閉じ込めに会い、トイレなどで脱出手段のない場合は119番に救助要請を
ドアだけ替えれるものなの?
今の枠はそのまま残して、ドアだけ取り替えることもできます。
DIYをされる方でしたら、開き戸(ドア)でもご自身で取り替えリフォームできます。
弊社では、建具本体と消耗品の金具をセットでお取替えされることをお勧めしております。もちろん、建具には金物を取り付ける掘り込み加工をした上でお送りしています。
引き戸の取替の場合、和室のような「鴨居」と「敷居」に納まっている建具でしたら、特別な工具もいらず簡単に取り替えることができますが、敷居やレールが摩耗している場合が多く、建具だけ取り替えても動きがイマイチ…ということもよくあります。
その場合、レールも交換したり、敷居の場合は敷居を外して交換など大規模な工事にある場合もあります。
引戸は手軽に交換できますが、敷居やレールなどの摩耗がないかチェックする必要があります。
※現在の引き戸が建材メーカー製のものや上吊り戸の場合、専用の金具を使用している場合がありますのでご相談ください。
※ご自身での作業に不安のある方は、工務店様やリフォーム業者様にご依頼ください。 愛知県近郊でしたら、弊社から取り替えにお伺いすることも可能です。
鴨居と敷居の引戸を上吊りに
敷居が摩耗しているのなら、敷居溝にレール貼ればいいのでは?と思うかもしれませんが、摩耗して変形している敷居溝に両面テープでレールを貼り付けたところで、すぐに剥がれてしまい、実用的ではありません。かと言って、敷居ごと交換となるとDIYでは難しい大工事となってしまいます。
その場合、今の鴨居を活かしたままで上吊り引戸にするという方法をお勧めします。
現状の鴨居の溝の中に上吊りレールを取り付け、敷居溝にガイドローラーを取り付ければ上吊りにできます。
レールはご指定の開口寸法に合わせてカットした上でお送りしますので、届いたら鴨居溝にネジで取り付けるだけです。
上吊り式の引戸は開閉音が静かで動きが軽く、ローラーにゴミが巻き付きにくいため長く快適にお使いいただけます。
また、勢いよく閉まるときの「バタン音」を防ぎ、指はさみ事故の防止にも役立つ「ソフトクローズ」を内蔵できるのも人気の要因です。
枠はあるけど建具が入っていない場合
今の枠に付けるのはちょっと大変
開口部に木枠は入っているが、ドアはないところに新規で片開きのドアを入れたい。
DIYリフォームされる場合は、今の枠の内側にドア枠を回してドアを付ける、という方法が最も簡単です。
開き戸(ドア)の場合には、ドア枠の内側に戸当たりと呼ばれる桟がついたり、ドアノブのところはストライクと呼ばれる受け金具をつける必要があります。
戸当りは、ドアと枠の隙間から光が漏れるのを防いだり、ドアを閉めた時に正規の位置で止まるようにする役割があります。既存枠に後から細い角材を打ち付ける方法もありますが、勢いよく閉めた時の衝撃をまともに受ける部分ですので、しっかり固定する必要があります。
ストライクは、ドアノブから出ているラッチボルトをキャッチしてドアを確実に閉めて固定するための金具です。現場の既存枠にストライクを掘り込むこともできますが、トリマーと呼ばれる電動工具や専用の定規が必要になり、DIYの場合はかなり上級者でないと難しいかと思います。
内側に新しい枠を取り付ける場合は、枠と同色の戸当たりもセットされており、枠には戸当たりをしっかり取り付けるための加工がされています。
ストライクも工場で掘り込みをして取り付けた状態でお送りしますので、特別な工具や技術がなくとも取り付けできます。
但し、枠の厚み分だけ(5センチほど)有効開口が狭くなります。
業者様に取り付けを依頼される場合は、現状枠に直付けが可能かを施工業者様にご相談ください。
ロックなしのドアなら他の方法も
トイレなどロックの必要のあるドアではなく、ご自身でDIYリフォームしたい場合、「マグネットキャッチ」を取り付けてドアを止める方法もあります。これでしたら、ドア枠にストライクの彫り込みの必要がなく比較的簡単に取り付けることができます。
棒状のハンドルや手掛けを持って開閉するタイプとなりますので、ドアノブのように「回す」動作が不要となり、身体の不自由な方でも開けやすくなるかと思います。
但し、マグネットで引っ張っているだけですので、ドアにもたれかかったりぶつかったりしただけで簡単に開いてしまいます。あくまで簡易的な方法と考え、安全性が要求される場所には使用しないでください。
リフォームでの建具の取替えや設置では、「現状」の把握がとても重要です。
開口部の直角が狂っていたり、柱が経年変化で曲がっていたりすることもあります。
採寸個所が少々多くなりますが、このデータを頂ければ最適なサイズでお作りします。
取り付け方法などについても、お話を伺った上で最適な方法をご提案します。
ドアから引き戸に換える
アウトセット引き戸
開け放しにできる、少しだけ開けて換気ができるなど、引戸のメリットは多くあります。
開き戸(ドア)を外して引き戸に替えたい場合や、何も扉のない開口部に引き戸をつけたい場合などは「アウトセット引き戸」が最適です。
「アウトセット」とは、壁の外面に引き戸を取り付ける形式。開口部にフタをするイメージですね。
施工も比較的簡単ですので、DIYでの取り付けにも向いています。
DIY取り付けの場合は、施工が簡単な戸車式アウトセット引戸がおすすめです。