引き戸 5つのメリット
日本で多く見られる引き戸。引戸が重宝されるのには理由があります。
- 開口の幅に合わせて戸の枚数が増やせる
- ドア(開き戸)に比べて開閉動作時のデッドスペースが小さい
- 車イスに座った状態でも開閉しやすく、有効開口幅が大きく取れる(バリアフリー)
- 少しだけ開けて止めておくことができ、換気しやすい
- 開け放しができるので、開放感を出すことができる
複数枚の引き戸を設置して開放感のあるリビングにしたり、風通しを良くしたい洗面所などの水回りにも引き戸が向いています。開け放しできるため、収納の戸にも多く使われています。
引き戸はバリエーションが豊富
引き戸の歴史は「ふすま」から始まりました。
現在では、材料や金具などの進化もあり、多種多様な「引き戸」が作られています。
古来からある、敷居が戸の重さを受ける「下荷重」式の他、戸の上部にレールを取り付け、上から吊り下げる「上荷重」のものもあります。
ここでは「下荷重」のものを「下レール」、上荷重のものを「上レール」「上吊り戸」と表現します。
上吊戸が採用が増えています
バリアフリーが当たり前の時代、上吊り戸の比率が上がってきてますね。
動きが軽くて静か、ソフトクローズが内蔵できるなど、機能性も評価されてるのかも。
弊社としても、上吊り引き戸をお勧めしています。
バリアフリーが当たり前
現在では、一般住宅でもバリアフリーが普通になってきています。
今は全く問題がなくいても、将来のことを考えると、段差のない家づくりも必要ですよね。
そんな時代ですので、開き戸よりも引き戸、特に上吊り戸の需要が高まってきています。
バリアフリー基準では、設計で3mm、施工で5mm以下は「高低差なし」とみなされますが、やはり段差は無いほうがいいですよね。
床のレールが不要で、開口が大きく取れて、車いすでも開閉が楽な上吊り引き戸は、バリアフリーに最適な建具です。
上吊り式の引き戸は、メリットがいっぱい
上レール(上吊り引き戸)はスムーズな動きが長続きする特徴があり、下にレースもないので掃除がしやすく床のワックスがけもしやすい、ので人気があります。
見た目もスッキリしていますし、上述のバリアフリーの面からも上吊り引き戸の需要が高くなっています。
下レールと上レール
下レール(戸車式)は古来からあるタイプ
引戸の下に「戸車」と呼ばれる車輪が付いていて、床や敷居に敷かれたレールを戸車が走るタイプ。
古来からある、鴨居と敷居の溝の中を走る引き戸も含みます。この場合、敷居溝をレールと解釈します。
上は鴨居などの溝にはめ込み、下には敷居の溝かレールが設置してあり、その上を戸車が走ります。戸の重量を下の戸車で支えるので「下荷重」と呼ばれることもあります。
鴨居の溝は、引き戸が倒れないようにするためのレールの役割があります。
※障子やふすまなどの軽い戸には戸車をつけないこともあります
敷居のある和室や、コストを抑えたい場合などにおすすめ。
戸車は、戸の底に付いていて外から見えないものもありますが、簡単に調整が出来るように小口付のものもあります。
上レール(上吊戸)はバリアフリー+アルファ
上吊り戸(上レール)は、上枠(鴨居)に取り付けたレールの中を、吊り車と呼ばれる車輪が走ります。
戸の重量がすべて上のレールにかかるため、「上荷重」と呼ばれることもあります。
湘南のモノレールのイメージですね。
宙ぶらりんでもいけませんので、床に「振れ止め」と呼ばれる金具がついており、戸が前後に振れるのを抑えています。戸の下部には、振れ止めが入る溝が切ってあります。
床に敷居やレールが不要なので、バリアフリー仕様の引き戸の多くは上吊り式です。
病院の診察室や多目的トイレなどに使われる、手を放すと勝手に閉まる半自動引き戸も上吊り戸の一種です。
上レールに傾斜をつけることで、戸の重みで閉まります。ワイヤーをゼンマイで巻き取ることで閉めるタイプもあります。
振れ止めの形状は違いますが、工場や倉庫の出入り口に使われている「ハンガー戸」と呼ばれる大きな引戸も、上吊り引き戸の一種です。
上吊り式(上荷重)と戸車式(下荷重)のメリット
下レール(戸車)式のいいところ
- 戸車とレールの互換性が高い
戸車交換や戸の取替など、違うメーカーの戸車に変更のときでも、多くの場合レールはそのまま使用できる。
※交換用戸車の準備前に、サイズや形状を確認してください。 - 戸の上下の隙間が狭い(比較的気密性が高い)
扉の上部は、鴨居の中に差し込まれるので隙間は無し。下は数ミリの隙間。 - コストパフォーマンスに優れる
金具とレールの価格が上吊り式引き戸に比べ、安価。 - 取り付け・取り外しがしやすい
座敷のように2つの部屋の間仕切り引戸を外して大広間にする場合など、付け外しが簡単。
上レール(上吊式)のいいところ
- 下レール不要で、床をフラットに出来る
床にレールがないので歩行しやすく、見た目もスッキリ。掃除もしやすい。
特にバリアフリーが要求される介護施設では上吊り式引き戸がほとんどです。 - 戸が外れにくい
戸がレールから外れにくく
地震の際、開けられなくなる恐れが少ない。 - 吊り車が異物を巻き込みにくい
吊り車は上部にある為、ゴミを巻き込みにくく不具合が起こりにくい。快適な動きが長続き。 - ソフトクローザーが内蔵できる
レールの中にソフトクローザーを納めることができ、クローザー機能を付けた場合もスッキリした外観。 - 通気が良い
戸の下部に1~1.5センチほどの隙間があるが、これは開き戸にもある隙間。
通気孔の役割を持たせること出来る。 - 建物の「狂い」に強い
経年変化により建物の歪みが発生しても、影響を受けにくい。
ドライバー1本で建付け調整も可能。
上吊り戸は軽快な動きが長持ち
下レール式引き戸も上レール式引き戸も、新品のときは軽く開閉できます。
しかし、使い込んでいるうちに動きも悪くなってきます。
特に下レールの場合、戸車がホコリや髪の毛、ペットの抜け毛などを巻き込んで絡まりつき、動きが重くなります。
床にレールがあるため、限りなく床に近いところを戸車が走ります。そのため、床のゴミなどを巻き込みやすくなります。
戸車のゴミを取り除いたり、油をさしたり、戸車を新品に交換することで一時的に改善しますが、レールが摩耗していることも多く、しっかり直したい場合は戸車とレールも交換する必要があります。
その点、上レール式のものは、ホコリやゴミがレールに入り込みにくく、長期に渡ってスムーズな動きが続いてくれます。
下レール式はホコリが堆積しやすい
下レール式引き戸の「戸車」が走るのは床の上。最近ではバリアフリーが標準ですので、レールが床と同じ高さ、レールの溝は床面よりわずかに下がったところだったりします。
最も沈んだレールの谷間には、ゴミやホコリが堆積しやすくなっています。
先にも述べましたが、レールの上を車が転がるわけですので、車輪にゴミを巻き込みやすいです。髪の毛やペットの毛を巻き込み、それがホコリを巻き込んで挟まり、動きが悪くなります。 動きが悪くなる、と同時に音も大きくなります。
レールと戸車の間で摺り鉢の役割をして、巻き込んだゴミなどがすり潰され、レール周りに「黒い粉」が出てきたりします。
上レールはゴミが入り込みにくい
高いところはゴミの堆積が少ないことから、上にレールのある上吊り式引き戸は、下レールの戸車式引き戸に比べ、長期間快適に動くと言えます。
とはいえ、毎日の開閉により、少しずつではありますが摩耗や劣化、取付ネジの緩みなどは発生しますので、少しでも異変を感じたら、レールのネジや吊り車の取付けネジが緩んでいないか点検してください。
オーダードア.comの引戸はは衝撃音の対策が可能
上レール(上吊り引き戸)は軽く動きますので、勢いよく開閉すると「跳ね返り」や「衝撃音(バタン音)」が発生してしまいます。これは、せっかくの上吊り戸のメリットを打ち消してしまうほどの不快感です。
オーダードア.comでは「ソフトクローズ機能付き」の上吊り式引き戸がご購入可能です。
一定の位置から自動でゆっくり閉まるので、衝撃音の低減、指はさみ事故の防止に役立ちます。
お気軽にご相談ください。
戸車式から上吊り引戸にチェンジ!
戸車式から上吊りにリフォーム事例
メリットいっぱいの上吊り引き戸に交換したい!けど、うちの引き戸は鴨居と敷居…
鴨居と敷居におさまっていた引き戸からでも、大規模な工事をすることなく上吊り戸にすることも可能です。
襖がはまっていた鴨居の溝、ほとんどの場合溝幅は21mmです。
この溝にスッポリ納まるアルミのレールを使用することで、現状の鴨居を利用して上吊り戸にすることもできます。
私の自宅の引き戸も、戸車式から上吊りに取り替えてみました。
驚くほど動きが軽く、また開閉音も大きく減少。ソフトクローズも付けたので開閉時の当たり音もなく、とても快適に使用しています。施工も15分ほどで完了しました。
「そりゃ建具屋がつければ15分で終わるだろう」と思われてしまいますね。
確かに慣れている部分もありますが、DIYをされる方でしたら、片引き戸で30分もあればできると思います。
レールは、ジャストサイズに切ってお送り致しますので、ホームセンターで2000円程度で販売されている電動ドライバーがあれば比較的簡単に取り付けできます。
鴨居にレールをネジ止め、敷居にガイドローラーを取り付けできれば8割完成です。
アウトセット引き戸
アウトセット引き戸とは
一般的に、ドアや引き戸は壁の厚みの中に納まっています。
壁の開口の内側に枠を回して、その中に建具が入る構造です。
それに対して「アウトセット引き戸」は、壁の外に引戸を取り付ける構造です。「開口部に上からフタをする」イメージです。
近年ではデザイン的な観点から、枠を見せない「アウトセット式引き戸」が普及してきています。
また、開き戸から引き戸に替えたい、というリフォームにも容易に対応できますので、リフォーム向けの需要も多くあります。
この「アウトセット引き戸」にも、上レール方式と下レール方式があります。
アウトセットの場合、枠内に納める一般的な引き戸とは事情が異なるところがあります。
一般的な上吊りアウトセット引き戸の難点
ちょっと個人的見解も入ってしまいますが…
高さが7尺(約2m)程度の一般的な「アウトセット引き戸」の納まりの場合、上レール(上吊り式)にすると上のレールを納めるボックスが壁から飛び出す構造になってしまうため、見た目がうるさくなってしまいます。
レールの納まるボックスの存在感が気になるかもしれません。
せっかくの開口枠が見えない納まりで見た目スッキリなのに、もったいなくはあります…
上レールを目立たなくする方法
ハイドア(天井までいっぱいの高さ)の引き戸にして、天井にレールを取り付けて(または天井に埋め込む)目立たなくする方法もあります。
弊社規格品「ラフィーノ」のアウトセット上吊り戸は、天井にレールを埋め込むハイドアタイプとなっています。新築や大規模リフォームに最適です。
DIYにも最適な下レール式
ハイドアまで必要ないよ、という場合、下レール式のアウトセット引き戸もあります。
床にレールが付いてしまいますが、戸の上部はスッキリ納めることができます。
床に付くレールは厚みは3mm程度ですので、全体的に見るとかなりスッキリした印象です。
施工も比較的簡単で大規模な工事も不要、DIYにも向いています。
弊社規格品の「ラフィーノ」にも、下荷重式のアウトセット引き戸がございます。